mu mu 360 のゲームライフ

ゲーム歴25年以上(ドラクエ3以来)。ゲームについてのブログです(旧Xbox公認ファンサイト)。Xbox One、Xbox360を中心にプレイしたゲームの感想を書いています。

広がる「GTA3」有害図書指定。 レーティング強化への私見

 
先日、私の住む福岡県でもついにPS2Grand Theft Auto III (GTAIII)グランドセフトオート バイスシティ有害図書指定されました。
(例によってXBOX「グランドセフトオート」 ダブルパック対象外という矛盾を抱えつつ)
 
地元TV各局のニュース番組でも長めの時間を割いて、このことを伝えていました
(「“残虐ゲーム”18歳未満禁止にRKBニュースの動画はこちらで見られます、なかなか興味深い内容です)。
 
この「GTAⅢ」問題を受け、日本のゲーム業界もようやく重い腰を上げてレーティング強化(18歳未満販売禁止も含めた自主規制)が決定しました。
 
 
私はゲームのレーティングが強化されて、従来の18禁PCゲーム以外にも、家庭用ゲーム機ソフトでも18歳未満購入禁止の線引きが出来ることには賛成というか待望しているのですが(理由は後述)、現在のようにゲーム業界が行政の動きに従って対応するというかたちは好ましくないと感じてます。
 
やはり行政の締め付けが始まる前に、ゲーム業界が自主的にレーティング強化に取り組むべきだったと思います。 行政主導になってしまったために、上記リンクのような報道がされ、ゲーム全体にネガティブなイメージが付いてしまうことを危惧しています。
 
 
さてなぜ私がレーティング強化に賛成かというと、最近の日本産ゲームが衰退し、北米市場に逆転されてしまったのは、シリーズ物の連発やジャンルの偏りの他に、このレーティング強化への取り組みが疎かだったことに大きな原因があると思うからです。
 
ゲーム機の性能の向上に伴って、よりリアルな表現が可能になりました。今まではグラフィックで表現しきれない部分をユーザーが想像力で補っていましたが、PSあたりから徐々にユーザーの脳内補完が必要ないくらいにリアルな映像を見せられることになったのです。
 
 
それに符合して北米ではレーティングが強化されました。そしてゲームは分別のある大人が楽しむ娯楽作品と、子供やファミリーで安心して楽しめる作品とに分かれていきました。大人しか遊べないとすることで、パイ(購買者層)は狭くなりますが、逆にターゲットを大人に限定することによって、表現の幅は広がっていったのです。
 
従来では、あいまいにしか描けなかったり、採り上げることすらできなかった題材(マフィアの世界や暴力行為など)が本格的に描けるようになり、ドラマ性の高いストーリーやリアルな演出が可能になりました。こうして「GTAⅢ」を筆頭に、洋ゲーは次々と大人向けの傑作を生み出す土壌ができあがっていったのです。
  
 
一方、日本のゲーム業界は表向きの制度だけは作りましたが、販売店にまで徹底されるようなものではなく、GTAⅢ」問題が起こるまで自主規制は非常に消極的なものでした。日本のゲーム業界のトップの人たちが、レーティングを厳しくすることはパイ(購買者層)を狭めてしまうことになると考えたからでしょうか。
 
その結果、子供にも売ることが出来るようにと過激な描写は製作過程で没にされ、クリエイターが本当に作りたいもの、大人のユーザーが満足できるものは少なくなっていきました。
 
 
また海外で売上の良い、評判のソフトを日本で発売することもありましたが、レーティングが徹底されていなかったために、ローカライズの過程で過激な表現を省いたりして発売されました。しかしそれではそのゲーム本来の魅力を充分に楽しめません。中途半端な状態では、売上本数が伸びないのも当然です。
 
そのためか、最近は海外で好調なセールスでも、日本で発売されていない海外ソフトの傑作が多々あることは、熱心なユーザーならよくご存知のはずです。(特に初代XBOXXBOX360のユーザーの皆さんは歯がゆい思いをしてきたはずです)
 
 
こうして、日本ではまさに龍が如くのCMコピーのように「ゲームに飽いた人たち」が増えてしまったのです。
 
 
日本でPS2Grand Theft Auto III (GTAIII)が販売本数でも健闘したのは、ゲーム自体の面白さ、話題性もありますが、日本での販売元のカプコンが、原版の表現・演出に極力、手を加えずにそのままに近いで提供したことが、ユーザーの満足度につながった面もあるでしょう。
 
 
現在、任天堂はDSという強力なハードを駆使して違った角度から「ゲームに飽いた人たち」や「ゲームに縁のなかった人たち」を振り向かせることに成功しつつあります。しかしその戦略は、今までゲームとして成立しなかった実用ソフトなどをゲーム的味付けをして楽しませてゲーム機に対するアレルギーを無くしてファンとして囲い込み、自社の過去のコンテンツを再活用できる、シンプルなゲームへ誘導するというものです。これはこれで私は支持します。
 
 
しかしその一方で、レーティングを強化して「ゲームに飽いた人たち」を満足させるような最先端の表現・演出による大人向けの娯楽作品を続々と出すことも必要です。日本のクリエイターも現在の表現の呪縛から解き放たれれば、すぐに海外に追いつく可能性は秘めていると信じています。
 
その舞台として海外で好調なXBOX360は非常に適していると思います。早くレーティングを強化して、まずは海外の人気作品を、表現に手を加えずにそのまま日本語化して次々と発売していただきたい。本物を本当の形で提供すれば、「ゲームに飽いた大人たち」の支持も得られるはずです。
 
以上が私がレーティング強化に賛成し、待望する理由です。日本のゲーム業界(特にクリエイターの方々)は決定したレーティング強化をプラス要素につなげてほしいと願います。