ゲーム表現の可能性へのチャレンジは続く!PS2版「龍が如く2」
名越氏は先日行われた、「CEDEC 2006」でのセッションで、現在の日本国内のゲームマーケットについて、国内市場が縮小していることから、リスクを負わないために続編ばかりが制作されている状況に触れ、次のように語っています。
「作品の中身に対して守りに入っている、またそれをよしとしてしまう状況があります。現在は、インターネットやケータイなどがあり、以前とはライフスタイルが変わったという見かたもありますが、これはユーザーからゲームがいちばん楽しいと思われなくなったということだと思うんですよ。コンテンツに対する期待値を減らせてしまったこと、それはメーカーの責任がいちばん重いだろうと思っています」
さらに、ゲームの表現や倫理基準について、現状では、表現に対する倫理基準が曖昧だと指摘した上で、
「人間を殺すのでは問題になるが、それがロボットならオーケーだったり、時代を変えて戦国時代であれば人間を殺しても問題がなかったりします。ただ絵の線引きだけで済まされているんです。
絵だけで線引きをしていたら、あまりにできないことが多い。現在の基準で言えば、ピカチュウが血を吐きながらけいれんを起こしても問題はない。だけど誰もやらないし、やるべきでもない。そんなことをしたら子どもたちがトラウマを抱えてしまう。でも、今の基準ではOKになる。つまり対象に対する責任は考えられていないということ。
ゲームの価値観が変わっている以上、そこにはしかるべき倫理基準がなければならないはずで、それによって正しい基準が生まれる。クリエーターが表現したいものがもっと引き出しやすくなる」
そして「エロやバイオレンスに限らず、越えなきゃいけないハードルはたくさんあるが、越えること自体を面倒くさいと思っている人が業界には多い。それをさぼりすぎていたことが、こうなった大きな要因。
クリエーターは越える努力をすべき。ユーザーは新しいものを求めていて、それをクリエーターが“もうこれ以上は”としてしまったら、先にはつながらない。海外はどんどんそういうところに投資していて、このままだと日本だけ離れ小島のようになる可能性がある。
表現についてもっと突きつめないといけない。たくさんの人を幸せにできるゲームを提案して、夢のある環境を作っていきましょう」と締めくくっています。
私もプレイしましたが、非常に刺激的で、ゲーム表現の可能性を感じさせてくれる作品でした。
本来、このような作品の新作は、XBOX360やPS3のような表現力豊かな最新ハードで作ることで、作品のリアリティも増すのでしょうが、PS2を選択せざるを得ないところに、現在の日本市場の限界を感じてしまいます。
しかし、ハード性能の制約はあっても、「龍が如く2」は前作以上にゲーム表現の限界を押し上げるものになることでしょう。
市場規模だけでなく、ゲームの質までも、海外に差を広げられつつある日本で、希望を感じさせる貴重な作品です。
これに続く作品、メーカーが、続々と出てきてくれることを願って止みません。
興味のある方は「龍が如く2」と合わせてプレイされることを、オススメします。